コロナウイルスが世界中で蔓延する中、仕事で海外へ渡航するのは不安です。
しっかりとしたサポートがあるなら良いのですが、出張者まかせの海外渡航は心細いです。
言葉がわからないのに、何かあったらどうする。
いったい、コロナ前の出張と何が違うんだ!?
そんな思いで、中国出張に行くことになった男の体験談です。
体験期間は、2021年7月〜9月です。
- 中国出張への出発〜帰国までの流れ
実際に、中国出張を体験してみて思ったことは「中国は、日本より安全」です。
中国には「人口に対する、病院の絶対数が足りない」という事情があります。
「感染が拡大すれば悲惨な状態になる」ことを理解しているから、中国国内はコロナに敏感であり、個人の行動を徹底的に管理しています。
やりすぎと感じる管理が、日本にない安心感を感じさせてくれました。
中国国内でみたもの
日本人からしたら、有り得ないぐらいの追跡や責任追及があたりまえです。
国や省(日本でいう都道府県)によって、管理が徹底されているのです。
- 携帯電話のGPSによる行動追跡
- 個人の無責任な行動による刑事責任
中国では、電子マネーの利用が当たり前で、現金を使いません。
実際に、現金を置いていないレジも多いです。
そんな生活だから、携帯電話は必需品。
この携帯電話の個人情報やGPSで、個人の行動が管理されています。
住んでいる地域で、コロナの陽性者が確認された場合
- メールでPCR検査を受診するように通知
- メールで受診しない場合は、電話連絡でPCR検査を受診するよう指示
- 言うことを聞かない場合は、警察の出動もある
国民からしたら「何で電話かかってくるの。行動を見られていてプライバシーはない。」と感じるかも。
しかし、両者からみて、ちょうど良いではコロナは抑えれないのが現状です。
日本のような中途半端な対策が、確実に尾を引くでしょう。
中国で、コロナ陽性者が確認された場合、陽性者の住居・近隣の住宅も含め部分的な完全隔離になります。
程度がひどければ、広範囲でロックダウンになる事もありえます。
突然、市民一斉PCR検査を実施することがあったり、2日以内の陰性証明を持っていないと会社に入れないという時期もありました。
ホテルや会社の周りの飲食店が休みになり、昼ご飯・夜ご飯を食べるところがなくなる状況も突然やってきます。
何度も言いますが、「突然」状況が変わります。
感染者の有無で、地域ごとにリスクレベルが変化し、行動を制限されてしまうのです。
渡航中は、コロナウイルスの状況で中国国内の対応が大きく変化しますので、最新の情報を常に手に入れるよう心がけてください。
昨日まで許されたことが、今日から規制がかかる。
中国国内では、こんなことは日常茶飯事です。
当記事が、これから中国へ渡航する際の参考になればと思います。
企業もウイルスの持ち込みに非常に敏感になっています。
隔離の宿泊地域でコロナウイルス感染者が増えた場合、入国後の隔離期間3週間が無効になる場合があります。
「感染地域から移動の方は、そのエリアを出てから2週間経過した人しか受け入れません」といった、独自のルールでコロナ対策をされている企業もあります。
客先に、前もって確認しておきましょう。
日本から旅発つ
コロナウイルスが蔓延する中、海外への渡航は規制が厳しくなっています。
招聘状が届かなければ、出張の予定がたたないというのが現状です。
しかし、招聘状が届きさえすれば、そこからの流れは驚くほどスムーズでした。
招聘状が届く→最短でビザ申請→最短でフライト予約→フライト
出張は決まったものの、出発がいつになるか分からず余裕をかましていたのに、予期せぬ急展開にパニックに陥りました。
コロナウイルス中の出張は、通常の海外出張と勝手が違います。
飛行機の搭乗手続には、出発前2日以内に受診した、PCR検査の陰性証明書が必要になります。
陰性証明を取得後に、検査結果を登録して、コードを取得しなければなりません。
「フライト前日から隔離ホテルまで」を、まとめているので詳細はこちらをご覧ください。旅立つ前のイメージトレーニングにどうぞ。
中国では「WeChat&Alipayがないと生きていけない」と、いえるぐらい二つのアプリの力が大きいです。
渡航中に登録を求められる各種コードの取得・健康コードなどの提示は、二つのアプリ経由です。
アプリは、渡航前にダウンロードを済ませ、操作になれておきましょう。
※中国入国時から、通信できる携帯は必須です。(空港内で登録が必要)
隔離生活の体験談
不安を抱える隔離生活ですが、私はなんの不自由もありませんでした。
宿泊するホテルは「運」です。
部屋が広いか、狭いか。ご飯がおいしいか、まずいか。
どんなホテルに宿泊するかは、部屋に入るまでわかりません。
どんな食事かも、出てくるまで分かりません。
ホテルの環境〜食事〜
隔離ホテルによって、設備だけでなく、食事にも違いがあるようです。
人間は、何もしなくてもお腹がすきます。
隔離中に一番大変なのは、食事かもしれません。
毎食、暖かいお弁当は食べれます。
私は、なんでも食べるタイプなので全く問題ありませんが、お弁当が口に合わなければ2週間食べるものがありません。
好き嫌いの多い方は、どんな食事が出てくるかは分からないので、最低限の食事補助(ふりかけ、レトルト食品、インスタント食品)はあったほうがよいです。
ご飯(米)が口に合わないという場合は、日本から大量に食品を持ち込まないと食べるものがない場合があります。
数ヶ月前に中国へ出張した同僚は、「俺は大丈夫」と食料を持たずに渡航して、隔離生活の2週間でガリガリになったそうです。
「何も食べれなかった・・・」と言っていました。
ホテル内で自由に食べ物や飲み物を購入できると聞いていましたが、私の宿泊したホテルは、水以外の購入サービスはありませんでした。
14日間は禁酒・禁煙です。ここだけ見たら健康的な生活をおくれます。
「ホテルでの隔離生活」を、まとめた記事があるので詳しくはこちらをご覧ください。食事や日常の生活がわかるので、荷物の準備にも役立ちます。
他人から、どんないい話を聞いても、最後は「運」です。
自分の食生活や、最悪な状況を考えた準備をしましょう。
隔離を導入した当初よりは、かなり待遇は改善されているようです。
お酒は、日本から持ち込み可能です。
ホテルでの追加購入は出来ないと聞きました。酔っ払いによるトラブルをなくす為らしいです。
外部からの荷物にお酒を忍ばせて届けてもらっても、部屋に届く前に荷物をチェックされ酒類は抜かれます。
一時預かりという形で、ホテルのチェックアウト時に返してくれます。
「酒類を提供するホテルもある」と聞くので、「運」なのかもしれません。
ホテルの環境〜ネット環境〜
ホテルによって、ネット環境も変わってきます。
電波の良し悪しから、WiFiへの接続方法まで違いがあります。
宿泊したホテルのWiFiを利用するのに、中国携帯が必要な場合があります。電話番号で確認コードを取得するためです。
私が宿泊したホテルは、日本の携帯番号は使えませんでした。
日本と中国の違いを、詳しく書いている記事があるので気になる方はこちらをご覧ください。現地で困ったことを書いています。
現地でのネット環境に不安のある方は、事前に準備しておきましょう。
中国では、「金盾」と呼ばれる中国政府のインターネット検閲システムがあり、ホテルのWiFiに繋がっても日本で利用しているSNSなどは、ほとんど使えません。
ホテルのWiFiを利用する際には、VPNが必須です。
また、ホテルだけの利用でいいのか、常に通信状態にしておきたいのかなど、個々の利用方法で最適なものを選択すればよいと思います。
中国でインターネットを利用する方法
- 中国携帯をレンタルする(ホテルのWiFiに接続するのに必要)
- WiFiルーターを契約する
- 香港シムを購入して持ち込む
- VPNをダウンロードしておく
私は、香港シムと中国携帯とVPNを利用しました。
とにかく安く動画を見たり、インターネットを利用したかった事と、常に通信できる環境でいたかった為です。
ただ、WiFiが繋がったとしても、無料のVPNは繋がりにくい状態でした。有料のVPNの検討も必要です。
香港SIMについて詳しく書いている記事があるので、よかったら参考にしてください。値段も安価で、日本と同じように携帯が使えます。
ホテルの通信環境も運次第なので、Wifiが繋がりにくい場合の暇つぶしも考えておきましょう。
ホテルWiFiの接続に国内電話が必要だが「持っていない」場合
中国携帯を持っていない場合は、ホテルのフロントに説明に行けば、WiFiに接続してくれます。
ただし、伝えるには中国語を話すか、通訳が必要になる場合がほとんどです。
※隔離ホテルでは難しいかもしれません。WeChatでホテル側とやりとりしてみる価値はあるかもです。
隔離生活は時間があるので、暇をいかに潰すかが鍵になります。
通常は2週間の隔離ですが、飛行機の同乗者にPCR検査の陽性者がでれば、4週間程度の隔離に延長されます。
何が起こるか分からないので覚悟はしておきましょう。
時間つぶしの記事を書いています。暇つぶしの手助けになればと思うのでよかったらご覧ください。
ホテルの環境〜運動〜
隔離中は部屋から一歩も出ることができません。
2週間も動かない生活が続くと、筋肉が弱ってしまいます。
最悪なのは4週間の隔離になってしまった場合です。
会社の同僚は、4週間の隔離後の仕事で筋肉痛になっていました。
普通の仕事なのに、すごい疲労を感じたそうです。
そこで必要になるのが適度な運動です。
- 隔離中に筋力を落とさない為
- ご飯を食べ過ぎて太らない為(ご飯が美味しかった場合)
部屋の大きさにもよりますが、日本のビジネスホテルほど極狭の部屋はないと思います。
手を広げて立てるスペースがあれば、ラジオ体操やスクワットといった運動ができます。
難しく考えずに、少しだけでも生活に運動を取り入れましょう。
私が隔離中に実践してみた運動を記事にしているので、よかったら参考にしてみてください。プロテインも持ち込めたので、隔離中に筋肉質になるかもしれません。
ちなみに私は、毎日筋トレしていました。
健康観察期間とは
日本の自由な隔離期間とは違い、中国では徹底された隔離期間です。
中国の隔離期間中に、コロナウイルスに感染するリスクは極めて少ないです。
核酸検査(PCR検査)以外、まったく人と接することがありません。
こんなに厳重な隔離なのに、追加で1週間も健康観察期間って、どんだけ疑ってるんだ〜
この徹底された隔離期間が、中国国内への病原菌の持ち込みを防いでいるのです。
健康観察期間は、予備期間として存在していると感じました。
健康観察期間・・・隔離期間後の予備期間
健康観察期間は、自由に外出できるからです。
ただし、健康観察期間中に、2回の核酸検査(PCR検査)がありました。
チェックインの翌日と、チェックアウトの前日です。
隔離期間とは違い、各自で病院に行って受診するので、通訳の方が必要です。
現地の病院で言葉が分からないと、かなりしんどいです。
検査自体は、ものすごくスムーズに終わります。
- 核酸検査(PCR検査)は80元(2000円以下)
- 「核酸検査を受けなさい」と要請があった場合は無料
- ワクチンは病院でいつでも打てる
中国では、ワクチンをいつでも打てて、PCR検査を受けやすい環境が整っています。
そして、PCR検査〜結果の受け取りまでがスムーズです。
全てスマホで完結できるのは、日本も見習うべきところだと感じました。
この期間に健康コードや通信行程卡を取得しておきましょう。健康観察後のホテルのチェックインの際に必要になります。
健康観察期間について詳しく書いた記事があるので、よかったら参考にしてみてください。病院でのPCR検査についても書いています。
健康観察期間は自由に動けますが、何かあった場合は個人の責任問題になるでルールを守りましょう。
隔離後の生活
隔離後は普通の生活ができます。
ただし、ホテルやデパートなど、各所で健康コード(緑色コード)の提示を求められます。
ホテルと客先では、通信行程卡(緑色コード)の提示も求められました。
違いはこれくらいでした。
中国に渡航すると、いち早くアフターコロナを体験できます。
日本を出発してから3週間ぶりの自由という事もあり、普通のことが、すごく幸せに感じました。
中国で、マスクをしている人は、1/3程度(見た感覚)。
普通に大人数でご飯たべてる・・・大人数でバスケやってる・・・
そんなに安心して大丈夫なの?
日本と違いすぎる生活に驚きました。
中国には徹底した管理がありますが、そこから生まれる自由があります。
「日本と中国の生活はどちらがいい?」と聞かれたら、私は中国と答えます。
隔離後の自由になった中国での生活を知りたい方は、こちらをご覧ください。
上海に駐在されていた方がコロナ初期は日本に帰国しましたが、いまは日本を離れ上海に戻って来ています。
当時は単身赴任だった方が、家族を連れて戻ってくるケースも多いようです。
なぜかというと、日本よりコロナ感染のリスクが低く、普通の生活ができるからです。
話を聞くだけでは嘘のようですが、生活すると実感できます。
帰国〜移動日は長い1日になります
仕事が終わり日本に帰る際には、出発前2日以内に受診したPCR検査の陰性証明が必要になります。
フライトまでの流れ
2日前にPCR検査→1日前に結果の受け取り→フライト
帰国前PCR検査
私が上海で受診した病院は、日本語で対応してくれるスタッフが多くいました。
検査は、同じ日のフライトと思われる方が多く混雑していました。
検査は、鼻にグサッと綿棒を入れて終了しました。1回だけでした。
受付の待ち時間がなければ、検査に時間はかかりません。
搭乗〜日本入国
搭乗手続きと日本入国時に陰性証明の確認が必要なので、すぐに取り出せるようにしておきましょう。
飛行機の利用者は、思った以上に多かったです。
日本から中国に出発する飛行機では、真ん中の席が開けてありました。
帰りの日本行きの飛行機は、真ん中の席までびっしり人が座っていて窮屈です。
日本に到着後は、荷物を受け取って解放されるまで4時間程度かかりました。
到着便から順番に手続きを行うので、到着時の状況次第で変わりそうです。
しかし、PCR検査が必要なため、検査結果が出るまでは入国できません。
そのため、早くても2時間はかかるでしょう。
到着時間が遅かったこともあり、イライラされる方もいました。
くれぐれも、優しく入国手続きの手伝いをしてくれるスタッフには、あたらないでください。
イライラをぶつけたところで、早くなることはありません。
日本への入国時には健康確認アプリの登録や確認がありますが、スタッフが手伝ってくれるのでスムーズに完了します。
外国人スタッフも多いのですが、みんな日本語が上手でびっくりしました。
私は、中国のホテルをAM9:00に出発して、隔離ホテルについたのがPM23:30でした。
飛行機の遅れも発生した為、長時間の移動となりました。
日本での待機期間
海外からの入国者は、入国の次の日から起算して14日間の待機期間に入ります。
14日間の待機期間中のルール
- 自宅や宿泊施設で待機
- 他者と接触しない
- 毎日、位置情報と健康状態を報告
私の場合は、ホテルで14泊しました。
自宅に帰っても家族に移す心配があるので、感染していないことを確認して家に帰ります。
また、「レンタカーを運転して帰ろう」と思う距離ではないのです。
日本での待機期間(隔離)で困るのは、ご飯を自分で調達することです。
買い物に行こうにも、ホテルの近くにはコンビニしかありませんでした。
そのため、1日3食をコンビニで購入して食べました。14日間・・・。
待機期間中は、入国時に登録したアプリでの位置情報の確認が1日に2回程度行われます。
健康確認は、1日1回です。
日本での待機期間は、自由に飲み食いできるので体調管理に気をつけましょう。
特に、季節の変わり目に風邪をひかないように注意しましょう。
中国から日本への帰国について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。必要なアプリ・登録の方法を紹介しています。
渡航時期により緩和措置が変わりますが、隔離期間を14日から10日間に短縮する方法はこちらをご覧ください。
中国出張まとめ
緊張の中で始まった中国出張でしたが、終わってみて一言。
楽しかった〜。
隔離中は趣味に没頭し、隔離が開けると筋トレに没頭し、帰国して趣味に没頭する。
こんな感じの約3ヶ月でした。
まったく書いてませんが、やるべき仕事はしましたよ。
不安なことばかり。分からないことばかり。それでも無事に帰ってこれるんです。
言葉のわからない国へ出張するにあたり大切なこと。
『旅の中では、恥を捨てる』
周囲の人に聞けば何とかなる。
伝える気持ちがあれば、わかってくれる。
今の時代は、翻訳機能も使えてマジ便利です。
「楽しくない出張だった」とならないように、行動しましょう。
楽しみは自分で見つけるものです。向こうからはやってきません。
皆さんが、楽しく出張できることを願っています。
当記事で、出張前の不安が少しでも解消されたなら幸いです。
良い旅を!